世界に伝わっていった紙
紙の製法が世界に波及していったのは中東方面のイスラム世界と唐の戦いである751年の「タラス河畔の戦い」であるとされています。この時に捕らえられた唐の兵士の中に紙職人が居て、イスラム世界に紙の製法が伝えられることになったといわれます。当時の西洋や中東で使用されていたパピルスや羊皮紙よりも安価であることから、紙は世界に広まっていったのです。
トイレットペーパーの発明
そして、トイレにおいて水洗・ウォシュレットに並ぶ偉大な発明の一つであるトイレットペーパーは、紙を発明した中国で生み出されました。14世紀に当時の皇帝のために発明されたトイレットペーパーはやがて西洋圏に伝わり、1857年にはアメリカのジョセフ・カエティによって商業用のトイレットペーパーが開発されます。カエティのトイレットペーパーは一枚一枚にカエティの名前が印刷されているというものでしたが、古新聞などが使われていたため売れなかったようです。現在のようなミシン目の入ったロール式トイレットペーパーは、1879年にイギリスで開発されたと言われています。
日本においてのトイレットペーパー
日本においては、中国の発明よりも早く平安時代には既にトイレで紙が使われていました。これは、当時の和紙の原料としては楮(こうぞ)・三椏(みつまた)よりも麻が主流だったことに由来すると考えられています。麻は忍者が跳躍力の鍛錬に使用したといわれるほど成長が早い植物として知られ、紙の原料となるパルプも木材より効率よく取れることがわかっています。
つまり、生産量が多くなる麻を使っていたことが日本におけるトイレットペーパー導入を早めたのです。しかし、その頃のトイレットペーパーは貴族などのやんごとなき身分の使うものであったため、一般にトイレットペーパーが普及するのは明治時代を待たなくてはならなかったのでした。
では、トイレットペーパーや紙が発明される以前の時代には何がトイレで使われていたのでしょうか?
植物性のもの
トイレットペーパー以前の時代に、もっとも多く使われていたのが植物性のものです。田舎の農家などのトイレのあたりに大きな葉を付ける植物が植えられていることを見かけることがありますが、それはトイレットペーパーが無かった時代の名残であるとされています。用が済んだら葉っぱを千切って使用するのです。また、戦国時代までの日本ではチュウギと呼ばれる木の棒を使い、処理していたと言われています。このチュウギは傷付けることのない様に、滑らかに処理された表面を仕上げるのが職人の腕の見せ所であったと言われています。
動物性のもの
トイレットペーパー、ひいては紙は植物の繊維質を水の中で均等にしたものです。つまり、繊維質のものならばトイレットペーパーのように使えると言うことでもあります。それを証明するかのように、トイレットペーパー以前に使われていたものの一つに羊毛があります。羊毛を織ったり編んだりしたものではなく羊毛そのものを使っていたようです。また、古代ローマでは天然のスポンジである海綿を使っていたとされています。場所によってはチョウギのように貝殻を使っていたとも言われています。
自然のもの
長い間、トイレットペーパーのもつ「清める」という役割を果たしてきたのは水であるということに疑う余地はありません。川縁で用を足すのが普通であったのがそれを証明しているとも言われています。また、砂漠では主に砂が使われています。砂漠は昼間の温度が50度を越えることもあり、その高温で砂に混じった雑菌が消毒されるのです。
『神に見放されたらその手で運を掴め』
現代においても、最後の手段として用いられるのが手です。トイレットペーパーも無ければ代わりになるものも無い時は、これ以外の手段は無いのですから。トイレの落書きで『紙に見放されたらその手で運を掴み取れ』と書いてあるのはこれを揶揄したものです。
1970年代に発生したオイルショックは、現在もなおその尾を引いています。原油価格の高騰によって、各地のスーパーでトイレットペーパーを競い合って購入する姿がニュース映像として幾度と無く流されてきましたが、なぜ石油の価格がトイレットペーパーの買いだめに繋がったのでしょうか?
はじめはただの噂だった
当時、通産大臣を務めていたのは中曽根康弘氏が石油の高騰を受けて紙の節約を国民に呼びかけたのがそもそもの発端であるといわれています。これを「紙がなくなる」と捉えた国民による買いだめが各地に飛び火していった結果、トイレットペーパーの購入制限や価格上昇などが起き、全国的なパニックへと繋がっていったといわれています。
トイレットペーパー不足の真実
しかし、当時の日本は紙の生産量は安定していて供給自体には何も問題は無かったことがわかっています。つまり、オイルショックによるトイレットペーパー不足は単なるデマによって起こった騒動だったのです。しかし、2003年以降の原油価格高騰によって、納豆のポリエチレンパックの原価高騰と共燃料費の高騰を受けてティッシュペーパーやトイレットペーパーの価格据え置きのまま分量の引き下げが行われており、あながち間違いではなかったことが間接的に証明されています。
2006年に話題になった楽曲に「牛乳トイレットペーパー海苔」があります。これを唄っているのは「藤岡藤巻」というユニットです。かつて「尾崎家の祖母」で、一世を風靡したバンド「まりちゃんズ」のメンバーであった藤岡孝章氏と藤巻直哉氏によって結成されたのがこの「藤岡藤巻」なのです。「牛乳トイレットペーパー海苔」はアルバムに収録されており、団塊の世代のおやじが奥さんから送られてきた「牛乳 トイレットペーパー 海苔」としか書かれていないメールを家族の絆と考えるという内容のこの曲は、同世代の人々に深い共感を呼び、ブレイクの兆しを見せています。